コラム

ハイデルベルグ

催眠術の掛けかた

過去にあった催眠が絡む事件を紹介いたします。

1930年ドイツ

バーデン・ヴィデンブルグ州ハイデルベルグという地名の所に
ごく普通の新婚生活を送るまだ若い男女がいた。

ただ、妻は結婚当初からあまり身体が強くなく
体調がすぐれないときには一日中ベッドから出られず、また胃の調子が悪く血を吐くこともあった。

しかし、夫の献身的な介抱により
数ヵ月後には回復するまでになった。

しかし、その喜びの長くは続かず
突然手が開かなくなるなど、ある症状が回復すると、すぐにまた別の症状が現れたりする
度重なる妻の病気の治療に、家計は火の車となり夫を心底悩ませていた。

夫の突然の腹痛

そんなある日、夫は夕食に出されたキノコ料理を食べたところ
突然激しい腹痛に襲われ、激しく嘔吐をする。

数日後には、食後にいつものようにコーヒーを飲んだところ
またもや激しい腹痛に襲われたのだ。

さらには、バイクを運転していたところ
ブレーキが利かずに転倒をする。

原因はブレーキのワイヤーに細工がされていたためだった。

しかし、修理を出した後も
またもやブレーキが利かずに激しく転倒、
夫は腕に大怪我を追うことになる。

あまりにも頻繁に起こる不可解な出来事に
夫に恨みを持った人物の犯行と思われたが
仕事上のトラブルなどは全くなく
その原因は分からずじまいだった・・・。

だがその後さらなる衝撃が夫婦を襲った。

妻の自殺

夫に追い打ちを掛けるようにして、妻が自殺を図る。

幸い未遂に終わったが
彼女はライン川へと入水自殺をしようとし
偶然にも傍を通った家政婦によって助けられたのだ。

夫は立て続けに起こったこれらの不可解な出来事に対し
何者かによって意図的に引き起こされたと考え
ハイデルベルグ警察へと捜査を依頼することにした。

警察の事情聴取

警察はまずは妻である彼女に事情調査をし始める。
なぜなら、夫の傍にいた彼女にはこれまでにおこった不可解な出来事にすべて関与が可能だったからだ。

しかしその事情聴取で、警察は聞けば聞くほどおかしなことに気が付く。

記憶がない

警察は、彼女が通院していたという病院や医師、そして治療内容について尋ねたが
治療を受けているはずのなのに、全く記憶がないという。

かろうじて憶えていたのが、その医者の名乗っていた名前。
「ベルゲン」と名乗っていたこと。

医師「ベルゲン」

しかし、その医師はハイデルベルグ近辺には存在していなかったのだ。
そこで警察は、法廷精神科医のルドヴィヒ・マイヤー博士に調査を依頼する。

マイヤー博士は、まず彼女を催眠療法によって過去の体験や記憶を思い出させることから始めた。
すると彼女は結婚前の、ある医師との出会いについて語り始めた。

その医師が「ベルゲン」だった。

ベルゲンは、ジュリアが患っていた胃の病気の治療を行っており
その際、治療前に「心が安らかになる…」という言葉をかけていたことが分かった。

「心が安らかになる・・・」

マイヤー博士は、ベルゲンと名乗るその医師によってジュリアは催眠がかけられていたと推測をすることになる。

理由は「心が安らかになる・・・」という言葉は
催眠術師が被験者に対して催眠を掛ける際に使用する
催眠誘導法の一つの言葉だったからである。

だからこそマイヤー博士は、彼女に催眠がかけられていた可能性があると考えたのだ。

捜査線上に浮かんだ男

その一方、警察でも動きがあった。

それは夫が警察に捜査を依頼する2ヶ月ほど前に、
詐欺容疑である男が逮捕されていた。

その男は、自分が医師であると自称していたので、
警察は事件との関わりがあるのではないかと推測したのだ。

その男の写真を見て、彼女は治療を受けていたのはこの男に間違いないと証言した。

つまりベルゲン医師と詐欺容疑で逮捕されていた男は、同一人物だったということだ。

そしてマイヤー博士はさらに彼女の治療を進めていくと
彼女は男から性的虐待を受けたという記憶をよみがえらせた。

記憶を閉ざす暗示

彼女は男に強力な催眠暗示を植え付けられていたせいで
思い出すことを抑えられてしまっていた。

男は彼女に、ある造語を聞くことで
覚醒時にもすぐに催眠状態に陥るという「後催眠暗示」と、
その言葉を聞いたあとのことが思い出せなくなるという「健忘暗示」をかけていた。

しかも彼女は、7年間という期間に約1000回にも及ぶ催眠を男から掛けられていたため
彼女の脳内では、「催眠状態にすぐに入ること」と「催眠中のことが思い出せなくなる」という
記憶の神経ネットワークが作られてしまい、催眠が解けることがなく思い出すことが出来なくなっていた。

催眠暗示によってひき起こされた偽の症状

彼女のさまざまな症状や、夫に起こった不可解な出来事は
全て、男が彼女に催眠暗示をかけ実行させていたためであることが分かった。

彼女が自殺を図ったのも
事件の発覚を恐れた男がかけたものだった。

そしてその暗示をかけていた男は懲役10年の刑が与えられることとなる。
ちなみに、彼女は催眠により正しい判断ができなかったとみなされ無罪となった。

この事件を知って・・・

催眠の仕組みをしっかりと知らなければ
こんなことできてしまうんだと思ってしまったかもしれません。

催眠術を掛けていのような状態になるのか?
と問われても誰しもこのような状態になることはないです。

そもそも彼女には類まれな催眠に対する被験性が備わっていたと推測されます。
そして、依存性も・・・

確かに彼女は長いこと催眠に掛けられ続けていたために催眠に掛かりやすくなっていた
そのことは確かだと思います。

ですが、催眠を受ける被験者である彼女の素質が
優れていたと考えるのが最も妥当だと思われます。

催眠を扱うものにとっては
この事件のことはしっかりと記憶にとどめて
催眠の本質をしっかりと理解していきたいものです。

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